第三話:回復している日本経済。
でも、なぜ消費は弱いのか?
最近、「日本経済は回復している」というニュースをよく見かけます。
実際、
GDPはコロナ前を上回り、
企業の利益も改善し、
賃金も上がり始めています。
それなのに、「生活が楽になった」とは感じにくい。
それはなぜなのでしょうか。
ここでは、その理由を3つのポイントで整理してみます。
① 景気は回復している。でも主役は企業
GDPの中身を見ると、
・輸出
・企業の設備投資
が伸びています。
その一方で、
・私たちの消費(個人消費)
は、それほど強く伸びていません。
つまり、いまの回復は企業側から始まった回復だということです。
家計側からの回復ではありません。
② 給料は上がっている。でも「実質」は弱い
給料は上がっています。
しかし同時に、物価も上がりました。
特に上がったのは、
・食料品
・電気やガス
・ガソリン
・サービス料金
など、生活に欠かせないものばかりです。
物価の上昇のほうが給料の上昇より大きければ、
実質賃金、つまり本当に使えるお金は増えません。
これが、消費が弱い一番大きな理由です。
これは気持ちの問題ではなく、
単純な計算の問題です。
③ 低所得層ほど影響が大きい
物価の影響は、誰にとっても同じではありません。
所得が低い世帯ほど、
・食費
・光熱費
の割合が高い傾向があります。
そのため、同じ物価上昇でも、受ける影響はより大きくなります。
消費を支える層の購買力が弱くなれば、
経済全体の消費も伸びにくくなります。
④ 人手不足でも、賃金が上がりにくい分野がある
「人手不足なら給料は上がるはずだ」と思うかもしれません。
実際、建設業などでは賃金がかなり上がっています。
ただ、医療や介護のような分野では事情が違います。
これらの業界は、国が価格を決める仕組み(公定価格)の影響が大きく、
自由に値上げしにくいのです。
そのため、人手不足であっても、
賃金が大きく上がりにくいという面があります。
日本では、医療・介護が大きな雇用の受け皿になっています。
ここで賃金が伸びにくいと、
国全体の賃金上昇も弱くなりやすくなります。
⑤ 今回のインフレの特徴
今回の物価上昇は、
・エネルギー価格
・輸入物価
・供給不足
がきっかけでした。
これは、「みんながお金を使いすぎた」から起きたインフレではありません。
こうしたタイプのインフレでは、
企業は価格を上げても、必ずしも売上まで大きく増えているわけではありません。
つまり、
賃金が自然にどんどん上がっていくとは限らないのです。
まとめ
いまの日本経済は回復しています。
しかし、
・回復の主役は企業側
・実質賃金はまだ弱い
・低所得層ほど打撃が大きい
・公定価格産業では賃金が上がりにくい
という構造があります。
だからこそ重要なのは、
物価の上昇よりも賃金の上昇が上回る状態を続けられるかどうかです。
これが実現すれば、消費は本格的に回復していきます。
実現しなければ、
回復は「緩やか」のままにとどまります。
「景気が良くなる」と「生活が良くなる」は、必ずしも同じではありません。
それが、いまの日本経済が示していることです。
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